きりたんぽと五平餅は「似ている」と言われることが多い食べ物。どちらもご飯のような、お餅のような見た目で、串が通っている所まで同じ!
そんな同じような見た目だと、きりたんぽと五平餅の違いはどこなんだろう?と疑問に思ってしまいますよね…。また似ている見た目だけでなく、産地や由来なども気にはなりませんか?
きりたんぽと五平餅の違いは?
産地や由来も知りたい!
この記事を読まれている方はこんな疑問を抱えているのではないでしょうか。
- きりたんぽと五平餅は似ている?
- きりたんぽの産地と由来
- 五平餅の産地と由来
- 五平餅やきりたんぽに似てる食べ物
きりたんぽと五平餅は似ている?
きりたんぽと五平餅は、お餅のようなご飯が串にささっている見た目から「似ている」と言われます。
しかし、使われている串や作り方、出来上がりの形や味付けなどは異なっている点が多くあります。
きりたんぽと五平餅の共通点
きりたんぽと五平餅の一つ目の共通点は、うるち米を炊いたご飯を使用するところ。
五平”餅”という名前からもち米を使用しているように思われますが、五平餅は通常のご飯と同じうるち米を使用して作られます。
きりたんぽも五平餅も、通常より少し硬めに炊いたご飯を、粒が少し残る程度までつぶして使われています。
二つ目の共通点は、棒や串を使用して焼く工程があること。ただし、使用する棒や串に関しては、少し違いもあります。
きりたんぽ鍋に使用されるきりたんぽは通常、直径1センチほどの円形の杉の棒を使用します。一方、五平餅に使われる串は、平らなへら状のものから割りばしのように細い串など、さまざまな形ものが使われています。
- うるち米を炊いてつぶしたご飯を使用
- 棒や串にさして焼く
きりたんぽと五平餅の違う点
きりたんぽと五平餅の違う点は、形・味付け・焼き方の3つ。それぞれ詳しくご紹介します。
きりたんぽと五平餅の形の違い
一見しただけで分かるのは、二つの形の違いです。きりたんぽは、常に棒状に成形されます。
五平餅は地域や作る人によって団子型・小判型・筒形・わらじ型など様々な形があります。
8/25 (日) 11時半~18時L.O.
— 大須ごへいもち店【公式】 (@osugoheimochi) August 24, 2024
保存用も確保しましたか?
急げー😆#大須ごへいもちVコラボ
ご存知の方には懐かしく、お初の方には新しい出逢い😊
「丸平だんご型ごへいもち」(正式名称らしい 笑)
当店の五平餅の形です
地域によって形もタレも様々☺️✨
恵那(東濃地方)の五平餅
是非楽しんで♪ pic.twitter.com/JNIuKAXAyO
ただし、五平餅の中でも、きりたんぽのように棒状に成形されたものもあるよう。また、きりたんぽに似た秋田県の郷土料理には、同じ材料を使用した団子形の「だまこもち」があります。
鍋が恋しいこの季節、きりたんぽ鍋を思い浮かべる人も多いと思いますが、 #だまこ鍋 もおすすめです!
— あきたびじょん (@akitavision) November 12, 2024
具材はきりたんぽ鍋と似ていますが、潰したお米をコロコロと丸めた「だまこ」が入っているのが特徴。
もちもちの食感と鶏ガラベースのスープは相性抜群です😋https://t.co/ZJ6ylviaeF pic.twitter.com/rpE8ghPQP3
だまこもち鍋はきりたんぽ鍋と同じ材料を使用しますが、串を通さず手軽に作れることから、家庭でもよく作られています。
きりたんぽと五平餅の味付けの違い
きりたんぽ鍋で使用されるきりたんぽは、きりたんぽ自体に味付けをすることはありません。棒につける時に塩水は使用しますが、味付けという理由ではなく、整形しやすくするために塩水が用いられます。
一方、五平餅の味付けは、地域や家庭によってさまざま。ベースになる味は味噌か醤油で、砂糖やピーナッツ・クルミ・ゴマなど、さまざまな味付けのバリエーションがあります。
五平餅の味付けに関しては、愛知県では味噌ベースにナッツ、岐阜県では醤油ベースにナッツや砂糖を加えるという情報もありました。
また、店舗で販売されているものにはにんにくが入っていたり、山椒・柚子・信州特産のくるみ味噌が塗られたものなど、多種多様な味付けがあるようです。
きりたんぽと五平餅の焼き方の違い
きりたんぽと五平餅は、焼く回数にも違いがあります。
きりたんぽは、つぶしたご飯を串に巻き付けた後、1回だけ焼くのが一般的な作り方。焼くことで香ばしい香りをつけ、また鍋に入れた時の煮崩れも防ぐことができます。
五平餅は、つぶしたご飯に串を通した後に1度焼き、たれを塗った後にもう一度焼くのが一般的な作り方です。たれを塗った後に焼くことで、さらに香ばしさとうま味が増します。
五平餅は全部で2回焼く工程があり、きりたんぽとは焼く回数が違います。
きりたんぽと五平餅の違いは3つ。きりたんぽに比べると、五平餅は形・味付けなどバリエーションに富んでいます。地域や作る人のオリジナリティが強く出る伝統料理と言えそうです。
- 形の違い
- 味付けの違い
- 焼き方の違い
きりたんぽの産地と由来
きりたんぽの産地は、米どころ秋田県です。東北のブランド米として知られる「あきたこまち」は、程よい粘りと弾力、あっさりとしているのにお米のうまみが十分に感じられるお米。
主張しすぎず、お米の美味しさもしっかり味わえるあきたこまちを使用したきりたんぽ鍋は、秋田県の郷土料理として知られていますが、実は秋田県全域で食べられているわけではありません。
きりたんぽの産地は?
きりたんぽを家庭料理として食べる習慣があるのは、秋田県の北部エリア。特に大館市や鹿角市を中心とした郷土料理で、秋田県北部の県北地区では、現在でも冠婚葬祭の際や新米の収穫時期、冬期間によく作られています。
秋田県内でも南部に位置する県南地区では、きりたんぽ鍋やだまこもちは身近な料理ではなく、ほとんど食べない家庭が大半を占めます。
大館市や鹿角市では現在でも「本場大館きりたんぽまつり」(大館市)や「きりたんぽ発祥まつり」(鹿角市)が毎年開催。イベントでは、収穫したばかりの新米を使ったきりたんぽを味わえるだけでなく、きりたんぽの手作り体験やステージイベントも楽しめます。
イベントの時期は、毎年10月~11月。イベント詳細は、おだてフードフェス・鹿角公式観光サイトでチェックしてみてください!
きりたんぽの由来は?
きりたんぽとしてよく知られている棒状の状態は「たんぽ」と呼ばれます。この「たんぽ」を鍋に入る大きさに切ったものが「きり(切り)たんぽ」。一般的にはきりたんぽ鍋に使用されるため、「きりたんぽ」という名前で多くが販売されています。
たんぽの発祥は220年以上前。木材を切り出す作業をしていたきこりが、山中で食べる保存食として杉の串にご飯を巻き付け、焚火で焼いて食べていたものが始まりという説が有力です。
当時の木こりは山仕事の際、巨大なおにぎりを持参して仕事に向かいました。北国の山中では持参したおにぎりはすぐに冷えてしまいます。そこで木こりたちは、冷えたおにぎりを木の棒に巻き付け、焚火で焼くことでご飯を温めることを考え出したようです。
そして、木の棒に巻き付けたおにぎりが、池や沼に自生する「蒲の穂(がまのほ)」に似ていることから、短い穂という意味の「短穂(たんぽ)」として呼ばれるようになったとされています。
その後、家庭の囲炉裏で焼かれた「たんぽ焼き」が鍋料理として普及。戦後の経済成長や国体の開催により、秋田県の郷土料理として広く発信され、また秋田県の県北地区でもその味が長い間受け継がれてきました。
現在のきりたんぽ鍋には欠かせない「比内地鶏」や「根付きのセリ」などは、その過程で食材として加えられたものかもしれません。
ネット通販では、きりたんぽ鍋に欠かせない食材が全部詰まったセットが販売中。これからの寒い季節、温かい秋田の味をぜひ試してみてください!
五平餅の産地と由来
五平餅の産地は幅広く、岐阜県・富山県・愛知県・静岡県・長野県など中部地方山間部を中心に広く伝承されています。
作られる形はさまざまで、細かく分けた場合は10種類にも分類されると言われています。
以前はハレの日の食べ物として、お祝い事やお祭り、来客時のもてなしなどで作られていましたが、現在は時期に関係なく、おやつとして家庭で作られることが多いようです。また、伝承地域では五平餅専門店等もあり、地元の人だけでなく、観光客向けの販売も行われています。
ネット通販では、たれ付きの五平餅が販売されています。販売地域に行かずに、自宅で五平餅が味わえますよ!
五平餅の産地は?
五平餅の伝承地域は主に、内陸に塩や海産物を運ぶのに使われた「塩の道」沿い。岐阜県は東濃地域・飛騨地域、愛知県は西三河・東三河・奥三河地域、長野県は木曽地域・伊那地域・上伊那地域・下伊那地域を中心に伝承されているようです。
アニメ「もののけ姫」をテーマにした愛知県のジブリパークでは、五平餅の分布図がパーク内に設置。分布図では、地域ごとの五平餅の形も見ることができます。またパークでは、五平餅の炭火焼き体験もできるようですよ!
分布も広い五平餅ですが、形だけでなく味付けもさまざま。地域によって特産品を用いたタレや、お店によってはオリジナルのものを使用しているようです。広い地域の伝承料理ならではとも言えそうですね!
SNSでは「味つけ最高!」「濃い目のたれが美味しい!」という口コミが多数!伝承地域では、タレのみの販売もされているようですよ!
当たり前のように朴葉味噌や五平餅のタレが売っている地元最高
— ❁U53❁ (@u5_3) December 1, 2019
五平餅のタレで茄子炒めを味付けするときっと美味しいと思うのでいつか買いたい pic.twitter.com/Nv3Qlrm1i8
ネット通販では、タレも販売されていました。餅の部分はご飯を使用して作ることができるので、タレだけ購入して手作りするのも楽しそうですね!
五平餅の由来は?
五平餅の起源は、江戸時代中期のきこりたちが、仕事で出た木の切れ端にご飯を握りつけ焚火で焼き、味噌をつけて食べたものがはじまりとされています。
次第に山での伐採作業の安全を祈る「山の講」の祭事で神様への供え物として捧げられるようになり、祭事前夜にはきこりたちが五平餅を作って食べるようになったと言われています。
五平餅の名前の由来は、諸説あります。神様への供え物である「御幣」の形に似せて作られたため・五平という人がつぶしたご飯に味噌を塗って食べていたため・川中島の戦いで五平という人物が兵たちにふるまった食べ物だったなど、多くの由来説が語り継がれているようです。
名前の由来ははっきり証明されていませんが、その美味しさは確実なもの!伝承地域では、五平餅のあまりの美味しさに「五平五合」(美味しすぎて一人で5合はたべられてしまう)という言葉もあるほどです。
五平餅が広い地域でさまざまに形を変え受け継がれてきた理由は、その美味しさにあるようですね!
五平餅やきりたんぽに似てる食べ物は?
五平餅やきりたんぽに似ている食べ物には、秋田県発祥のみそ漬けたんぽがあります。
みそたんぽと呼ばれる場合もあるみそ漬けたんぽは、五平餅のような味噌だれがかかっているおやつ感覚の秋田のソウルフード。こってりした甘めの味噌がポイントです。
味噌だれに使う材料は、味噌・白砂糖・酒・水のみ。材料すべてを鍋に入れ弱火にかけるだけで、味噌だれの完成です!
自宅にある材料で作れてしまう簡単レシピですが、もっとこだわって作るなら、白砂糖にプラスしてザラメ(中双糖)を入れることをおすすめします。ザラメを使うことで、独特の風味とコク・まろやかさが加わり、さらにおいしくなりますよ!
余った味噌だれは、焼きナスや焼きおにぎりにもピッタリ!ぜひご自宅で試してみてくださいね。
まとめ
今回の記事では、きりたんぽと五平餅の違いについてご紹介しました。
きりたんぽと五平餅の違いは3つ。形・味付け・焼き方に違いがあります。
また二つの共通点は、うるち米を炊いたご飯を使用すること、棒や串にささっている点。五平餅はタレがかかっているのが一般的ですが、今回ご紹介したみそ漬けたんぽなどは、見ただけではなかなか違いが分かりませんよね…。似ていると言われるのも頷けます。
今回調べた結果からはもう一つの共通点、どちらの起源にも「きこり」が関わっている説が濃厚だということが分かりました。
これまで多くの人に愛され、受け継がれてきた伝承料理。その背景を知ることで、いつもの味もさらにおいしくなりそうですね!
コメント